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「あの日見た君の横顔を、絶対に忘れない」 #50 種明かし

「でも、入部させてもらえるかな?」
川上のその懸念はもっともである。溝口は頷いた。
「確かに、そこは問題だな。そもそも何故一人なのか…単に一人の方が都合がいいって話なら、こっちからアプローチしても逃げられるかもな」
「その場合はどうするんだ?」
相川は愚にもつかない質問をしてくる。そのような状態になれば、そこに拘る必要などない。
「いや、駄目なら駄目で、わざわざ追いかける必要もないだろ。ちょいと面倒だが、俺らで新しい部活を立ち上げたっていいんじゃないか?」
「あー…それもそうか。けど、確かに面倒臭そうだな」
相川はわかったような顔で頷いたが、仮にオカルト研究会に所属したとしても、面倒には変わりないはずである。
むしろその謎の先輩に振り回されて、ろくでもない目に遭う可能性が高いに違いない。オカルトとくれば必然の展開だろう。
「…まあ、何だ。一人でやってる同好会なら、後四人入れば部に昇格だ。部室と部費がもらえるとなりゃ、そうそう断られる事もないだろうよ」
溝口は希望的観測でこの話を閉めた。時間的には、そろそろ頃合いだろう。カティルの確認は取れている。

「さて、ここで報告しておく事がある」
改めて、溝口は極めて真面目に切り出した。
「実は今、宮野がレーティアに接触している」
言うと、相川と川上は飛び上がらんばかりに驚いて、溝口に詰め寄った。
「ちょっと、一体どういう事!?」
「お前、なんでそんな事…!」
「待て待て待て、同時に喋るな。慌てなくても大丈夫だ、ちゃんと説明する」
溝口は両者をなだめながら、わざとらしくスマホで時間を確認してみせた。全てが計画通りに進んでいる事を強調するためである。

二人は何か言いたげな顔で溝口を睨みつけるが、溝口はつとめて平静を装い、手品の種明かしでもするように話し始める。
「結論から言えば、宮野には記事を書かせない。というより、書けないはずだ。
 まず、レーティアに会わせると約束したのは俺だ。そうしてお前らをレーティアから引き離すとは約束したが、その他の誰かが介入する事については俺に責任はないよな?
 で、白里にサポートを頼んどいたのさ」
「あ…!」
川上はここに来る前に教室前で白里に会った事の不自然さに、ようやく気が付いたらしい。
「サポートって、一体何をするんだ?」
相川の質問に、溝口は笑いながら答える。
「いや、何も。ただレーティアの横にいてくれりゃいい、そう伝えてある」
「はぁ!?」
相川は素っ頓狂な奇声を上げた。状況を鑑みれば、当然の反応といえる。

川上は既に何かを察しているようで、幾分訝しみながらも落ち着いて質問を投げかけてくる。
「一応聞くけど、それが溝口の言う『サポート』なのよね?」
「そうだ。要するに宮野は、この件に俺が噛んでるのを理解してる。当然、あいつは俺が何かを仕掛けてくると警戒してるはずだ。
 そこに白里だ。宮野は白里を知ってるが、白里って人間についてはよく知らない。白里が俺らの友達だなんて事も、多分知らなかったはずだ。その白里がレーティアの友達として横にいるとなれば、宮野はこの会合全てが俺の支配下にあると錯覚する」
溝口は自信たっぷりに説明してみせた。

(…どうだ!?)
《はい、効果アリです。まさに今、宮野さんは疑心暗鬼に囚われています》
(レーティアはどこまで話した?)
《自身の噂について一通り曖昧な回答を返したところで、白里さんから耳打ちが入りました》
(よし!なんて都合のいい展開だ!)
《ここまでは予測通りに事が運んでいます。こちらで話の主導権を取れば、向こうは会話の裏打ちをするしかありません》
(なら、このまま行かせてもらうかね)

溝口が密かに意気込んでいる一方で、相川と川上は不安げな表情をみせていた。
「お前の策はなんとなくわかるけど、レーティアはどうなるんだ?何も知らされていないんだろ?」
「恐らく、というか確実に、本当の事を話すしかないだろうな。むしろその方が都合がいい。疑心暗鬼になってる所に『実は宇宙人なんです』とか言われたって、誰が信じる?」
「でも、髪が動くのを見せられたら?」
「白里には『風紀委員の時みたいな騒ぎにはするな』と言づけてある。具体的に何があったのかは知らんが、簡単に証拠を提示していく事にはならないはずだ。そうなれば最早、口から出る情報に意味はない…!」
語気を抑え、しかし強い確信をもって断言してみせる。ここで大きく出るのは逆転負けフラグになりかねない。勝利者は常に冷静であるものなのだ。

「そうして宮野は、最終的にこう結論付ける。『レーティアは電波だ』とな」
溝口がそう結論付けると、相川と川上は口をぽかんを開け、唖然とした顔を見合わせた。
それが良いのか悪いのか、にわかには判別がつかないのだろう。

ともかくも、状況はそのように決着した。
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  1. 2019/02/27(水) 21:34:44|
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